イギリスの航空母艦

イギリスの航空母艦
Aircraft Carriers of the Royal Navy


アーク・ロイヤル 級

アーク・ロイヤル
Ark Royal

基準排水量

22,000 t

満載排水量

27,000 t

全 長

243.84 m

水線幅

28.88 m

喫 水

6.96 m

軸出力

102,000 SHP

速 力

30.75 kts

格納庫段数

2段

リフト数

3基

艦載機数

約60機

武 装

4.5" 連装高角砲8基16門

乗員数

1,575

起 工
進 水
竣 工

35- 9
37- 4
38-11

艦名の意味

王の約櫃

 イギリス近代空母の原点となった艦。飛行甲板の防御こそされていないが,その他の点でイギリス空母の標準となる技術が確立された。飛行甲板は最大限に長くとられ,艦首先端から始まるだけでなく艦尾よりかなりオーバーハングしている。これと関連して,艦首には外板を飛行甲板まで延ばしたエンクローズド・バウとして凌波性を向上させたほか,艦尾も同様の構造としたエンクローズド・スターンとなっている。これにより比較的高い乾舷と相まって航洋性を良好としている。日本の空母と比較して排水量に対して全長が短く全幅が広く,安定性が重視されている。居住区画が広いことなどからも,気象条件の厳しい北大西洋での長期運用を考慮した設計と考えられる。

 艤装の点で特筆されるのは,艦首にカタパルトを2基装備した点である。また航空用ガソリンタンクは弾薬庫と機関部中間の主要防御区画内に配置し,積極的な防御を施している。揮発性の高いガソリンは艦にとって気化爆弾であり非常に危険であるため,日米では主要防御区画の前後に専用の区画を設け,軽防御を施していた。航空関係では格納庫は2段の密閉式とし,リフト(エレベータをイギリスではこう呼ぶ)は小型のものを3基装備する。このリフトは上下2段式で,上下格納庫間,上部格納庫-飛行甲板間を同時に運搬可能であるが,下部格納庫から飛行甲板へは直接運搬できない。また主機が3軸である点も本艦の特徴である。

 日本の翔鶴より3年早く竣工しているがより近代的な設計の空母であり,技術的には翔鶴と大鳳の中間に相当する。


 

イラストリアス 級

 イラストリアス,ヴィクトリアス,フォーミダブル

イラストリアス
Illustrius

フォーミダブル
Formidable

ヴィクトリアス
Victrious

基準排水量

23,000 t

満載排水量

29,110 t

29,240 t

31,790 t

全 長

229.51 m

227.63 m

228.75 m

水線幅

28.96 m

29.18 m

喫 水

 7.32 m

軸出力

110,000 SHP

速 力

31 kts

格納庫段数

1段

リフト数

2基

艦載機数

36

武 装

4.5" 連装高角砲8基16門

乗員数

1,600

起 工
進 水
竣 工

37-4
39-4
40-5

37- 3
39- 8
40-11

37-5
39-9
41-5

艦名の意味

輝かしい

手に負えない

勝利を得た

 本級は飛行甲板に装甲を設置した世界初の空母である。飛行甲板に3インチ(76mm)の装甲鈑を設置し,リフトは2基として格納庫の前後端に配置した。さらに格納庫側壁も32mmの装甲鈑を設置しており,格納庫は周囲を装甲で覆われている。この結果,命中爆弾が格納庫内で爆発し飛行甲板を吹き上げるという,日本空母でよく生じた空母特有の弱点が克服された。しかし代償として格納庫は1段のみとなり,航空機搭載数は大幅に減少している。

 本級3隻は45年の沖縄戦においていずれも神風特攻機の命中を受けたが,飛行甲板と格納庫の装甲防御が大きな効果を発揮した。同様の被害を受けた米空母が戦列を離脱して帰港・修理を余儀なくされたのに対し,自力修理により6時間後には飛行を再開できたという。

 飛行甲板の防御という空母にとっての長年の課題を初めて克服した画期的な艦であり,日本海軍も大鳳の建造に当たって参考にしたと推定される。なお,3インチの飛行甲板装甲厚は,日本の大鳳・信濃のみならず現代のニミッツ級原子力空母に至るまで受け継がれる標準となった。


 

インドミタブル 級

 インドミタブル,インプラカブル,インディファティガブル

インドミタブル
Indomitable

インプラカブル
Inplacable

インディファティガブル
Indefatigable

基準排水量

23,000 t

満載排水量

29,730 t

32,000 t

全 長

229.82 m

233.53 m

233.60 m

水線幅

29.18 m

喫 水

6.81 m

軸出力

110,000 SHP

148,000 SHP

軸 数

3

4

速 力

31 kts

32 kts

格納庫段数

2段

リフト数

2基

艦載機数

約 50 機

72機

武 装

4.5" 連装高角砲 8基16門

乗員数

1,600

2,000

起 工
進 水
竣 工

37- 7
40- 3
41-10

39- 2
42-10
44- 8

39-11
42-12
44- 5

艦名の意味

不屈の

猛り立った

疲れを知らない

 イラストリアス級の改良型であり,航空機搭載数を増加させている。このために格納庫を2段式とし,その代償として格納庫側壁の装甲を減厚している。インドミタブルの下部格納庫は艦橋より後方のみで,上部格納庫の半分の長さであるが,インプラカブルからは上部と同じになった。完成度の高い空母であり,技術的には日本海軍における大鳳に相当する。米海軍で飛行甲板防御を行ったのは戦後竣工したミッドウェー級になってからである。


 


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