一 般(翔鶴)

計画年

1937

起 工

 

進 水

 

竣 工

1941.8. 8

戦没・解体

1944. 6
マリアナ沖海戦

建造所

横須賀工廠

排水量

基準(計画) [t]

 

  (実際) [t]

25,675

公試 [T]

29,800

満載 [T]

長さ [m] 全 長

257.5

水線長

250.0

水線間長

幅  [m] 最大幅

水線幅

26.0

高さ [m] 喫 水

8.87

深 さ
縦横比(水線長/水線幅)

9.6

乗員数

1,660

 翔鶴級は基本的に飛龍の拡大型である。軍縮条約の失効で排水量の制限がなくなり,各種の要求を満たすため飛龍よりかなり大型化した。航空関係の艤装については飛龍までの艦においてほぼ完成し,水平な飛行甲板,3基のエレベータと2段の格納庫などをそのまま踏襲している。ただし艦橋の位置に関しては,赤城及び飛龍で採用された煙突と反対舷の配置では両舷の気流が乱れて不適切なため,急遽煙突と同一舷に変更された。

 飛龍に比べ特に防御力が強化された。ただし飛行甲板への防御はされていない。

 排水量からはイギリスのイラストリアス級に相当するが,イラストリアスは完成が翔鶴より1年以上早いにも関わらず,エンクローズド・バウ,装甲飛行甲板,そしてカタパルトを装備しており,技術的には翔鶴より遙かに進んでいる。翔鶴は航空機搭載数・速力で勝るものの,設計の先進性という面では後れを否定できない。

 重心を低くするため低く抑えられた飛行甲板,低い乾舷,2本の舷側煙突と小さな艦橋など日本の空母の特徴を良く表した外観を持つ。実績の面からは日本の空母の代表と言える艦である。

 翔鶴級は日本の最優秀空母であったという通説になっているが,欠点もある。飛行甲板防御に関しては防御の項に述べるが,船体構造の複雑さは赤城以来変わることのない日本空母の欠点である。基準排水量25,000tの翔鶴の船殻工事に要した工数は約110万人・日で,64,000tの戦艦大和の99万9000人・日より多い1),2)。およそ大量建造に適さない,1艦毎の手作りのような艦でそれが外観にも表れている。後日戦局の逼迫により空母量産の必要が生じた際,翔鶴級は量産に向かないため改飛龍型の雲龍級が建造された。翔鶴の構造は不必要に複雑だったと見なすべきで,防御力の弱点と共に日本の最優秀空母とは称しがたい。

 翔鶴を改良した大鳳が一般に最優秀と見なされないのは,実績の欠如と,航空機搭載数が少ないという誤解によるが,実際には翔鶴に準じた搭載数である。大鳳が翔鶴より優秀と見なし得るもう一つの根拠はその構造の簡素さにある。翔鶴のように無用な曲線や構造物のない,非常にシンプルな構成となっており,カタログに表れない部分で相当合理化していると推測される。不幸な偶然により活躍できなかったものの,日本の空母技術が集大成されたのは大鳳においてである。


参考資料
1)  松本 喜太郎:戦艦大和・武蔵──設計と建造(2版),芳賀書店,1972,\5,000
2) 福井 静夫:日本の軍艦(13版),出版共同社,126,1979,\1,800