一 般 |
計画年 |
1939 |
|
起 工 |
|
|
進 水 |
|
|
竣 工 |
1944.3 |
|
戦没・解体 |
1944. 6 |
|
建造所 |
川崎重工 |
|
排水量 |
基準(計画) [t] |
29,300 |
(実際) [t] |
|
|
公試 [T] |
34,200 |
|
満載 [T] |
|
|
長さ [m] | 全 長 |
260.6 |
水線長 |
253.0 |
|
水線間長 |
|
|
幅 [m] | 最大幅 |
|
水線幅 |
27.7 |
|
高さ [m] | 喫 水 |
9.59 |
深 さ | ||
縦横比(水線長/水線幅) |
9.1 |
|
乗員数 |
1,751 |
翔鶴に対し排水量が14%大きくなっているが,全長などはほぼ同じで喫水が深くなっている。機関配置など船体の基本構成は翔鶴を元にし,防御力強化に重点を置いた改良がなされている。
本艦の最大の特徴は飛行甲板へ直接防御を施したことである。飛行甲板への爆弾の直撃は航空機運用能力を喪失させ,空母の戦闘能力を失わせる。実際翔鶴は戦闘においてこの欠点を露呈した。本艦では船体中央部の航空機エレベーターを廃止し,前後の2エレベータ間の発着艦に必要な最小限の幅に75mm CNC甲鈑を設置した。これによる重心上昇を防ぐため,甲板数を翔鶴より一段減らし飛行甲板を低くした。また水雷防御には翔鶴と異なり湾曲防御鋼鉄を採用し,板厚も翔鶴の30mmから44mmへと増加している。
飛行甲板が低くなったことが,本艦の外観に2つの特徴をもたらした。1つは日本の従来空母のような舷側煙突では傾斜時に水没・浸水の可能性があるので,艦橋と煙突を一体化した。もう1つは凌波性の低下を防ぐため,艦首外板を飛行甲板まで伸ばし一体化したエンクローズド・バウを採用したことである。
その他の特徴としては,大型高速艦の基本ともいえる球状艦首(バルバス・バウ)の採用,大和級・翔鶴級と同じタンデム配置の2枚舵が挙げられる。また高角砲は防空駆逐艦秋月級の主砲と同じ新式の長砲身10cm砲を採用したが,連装6基12門と翔鶴より数が減少している。艦橋及び煙突の右舷配置に対する重量バランスのため,艦橋より後部では飛行甲板中心線を船体中心線より2m左舷寄りにしている。
船体構造上の大きな特徴は,飛行甲板を強度甲板としたことである。これは装甲鈑を設置したため甲板に伸縮継ぎ手を設置できなかったためである。しかしこの方が船体強度を保持しやすく,構造上も合理的である。従来の日本空母は露天甲板レベル=上部格納庫の床面が船体の縦強度を受け持ち,飛行甲板は伸縮継ぎ手により前後方向に分断されていて縦強度を受け持たない。
従来の日本空母が超大型巡洋艦の船体に格納庫と飛行甲板を載せた,航空機搭載巡洋艦とでも呼ぶべき構造なのに対し,大鳳では構造的に一体化されより合理的なものになっている。特に船体側面は面一の非常にシンプルな構成となっており,飛行甲板防御と併せイギリス空母の影響が強く認められる。利根級巡洋艦は,タイプシップとなった最上級より船体構造の大幅な簡素化・合理化がなされていることから推察して,大鳳も翔鶴級より大幅に合理化されていると思われる。大鳳と翔鶴の設計には,翔鶴と飛龍の間以上の大きな進歩があり,本艦型において日本の空母建造技術は完成を見たと言える。