その他ノート

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■「級」か「型」か?

艦船の種別を表すのに「級」「型」どちらの表現が適当か,という議論が時々あります。これはあくまで好みの問題でどちらが合理的というものではないようです。単純に和訳の問題として,英語で"Class"なら級,"Type"なら型と表現すれば良いとも思います。

私個人の感覚では次のようなものがあります。

ロシア原潜ビクターIIIは,「ビクター級」の「III型」

これは飛行機を例に取ると

「零式」艦上戦闘機の「21型」

「三式」戦闘機の「II型」

のように,「型」は大分類の下の小分類を表すような印象を持ちます。

船の場合,全く新しい設計の船(新しいディメンジョン,配置,装備,機関)を建造するとそれは新しい「級」の出現であり,その設計を元に小改良された新型が建造されると改良「型」の出現,という感じでしょうか。例えば戦艦信濃・紀伊(4番艦)は「大和級」に属するが,大和・武蔵から若干の設計変更を受けた「改型」というような。

また単純に「型式」の違いを表す型より,「等級・階級」も意味する級の方が言葉として重く感じます。建造数が絶対的に少なく,各船が個々の名前を持ち,人生ならぬ「船生」を送る,船の持つ独特の存在感を表すには「級」の方が個人的にはしっくりときます。航空機のように個機が名称を持たない大量生産品なら,型式を表す「型」で違和感は感じません。

というわけで個人的には「級」という表現が好きです。

(2001.02.08)


■船や飛行機は何故左から乗るか?

飛行機が左から搭乗するのは船の習慣を引き継いだため,というのは有名ですが,では船は何故左舷から乗るのでしょうか? 英語では左舷を‘port’side(港側)と表すくらい,接岸は左舷で行うのが大昔からの習慣です。

大昔の船は舵がまだ船体中央にありませんでした。オールのような舵を船尾舷側から垂直に水中へ突き刺し,それに直角に付けた柄を前方へ延ばして手で操作していました。この時,人間は前を向いて柄を操作しますが,当然右手で操作できるよう舵が右舷に付けられました。その船が接岸する際は左舷でしないと舵を壊す恐れがあります。結果右舷は「舵を取る側」,左舷は「接岸する側」となったようです。

右舷を表す‘starboard’とは古期英語の‘steer−board’の変形です。‘steer’とは「舵を取る」の意です(舵輪や車のハンドルを英語でsteering wheelと言いますね)。‘board’は「舷側(外板)」の意です。

この舵は船がかなり大型になるまで使われていたようです。そうなると接岸中は左舷は荷役などで騒さく,士官室などの高級船員室は静かな右舷に配置する習慣になったのでしょう。その結果船では右舷が偉いことになったようです。船では右舷が正面であり,船長室や士官室は通常右舷に配置されます。船の側面図も特別な理由がない限り右舷を描く習慣です。また左右両舷にある装備を連番で呼ぶ場合は右舷から先に付けます。例えば舷側にある砲廓式の副砲は,右舷最前部が1番,左舷最前部が2番,以後右舷が奇数,左舷が偶数となります。

結局,船が左舷で接岸する理由は人間には右利きが多かったから,と言えるでしょう。何故人間に右利きが多いのか私は分かりません。多分進化上の偶然でしょう。

(2000.03.08)


■鏡は左右を逆にするか?

「鏡に写った姿は何故左右だけが逆なのか?」

という疑問はしばしば言われますが,恐らく本当に納得のいく説明をされた人はほとんどいないでしょう。

結論から言うと,鏡は左右を逆にはしません。錯覚です。もちろん上下も逆にはしません。しかしあるものを逆にします。

あなたが北を向いて立ち,南向きの鏡に姿を写しているとします。

このとき,あなたは北を向いていますが,鏡の中のあなたは南を向いています。そう,「前後」が逆になっているのです。右手はあなたも写像も東側にあり,頭は当然上側にありますから,左右も上下も逆にはなっていません。

では何故,人は「鏡の像は左右が逆」と錯覚するのでしょうか?

こういうことです。人は自分自身が実際に鏡の横に立った時の姿を想像し,その姿と鏡の写像とを比較します。この時100人中100人が,鏡まで歩いて行ってから「こちらを振り返った」自分の姿と比較してしまうのです。振り返った時,それまで東側にあった右手が西側に移動し,鏡の中の姿とは左右が逆になるわけです。(左右が入れ替わったのは鏡の像ではなく,振り返った自分の方です)

正しい比較は「鏡の中の自分はこちらを向いているのに,鏡まで歩いていった自分は背中を見せている。つまり鏡に写った姿は前後が逆になっている」というものです。ところが逆になった前後を勝手に(無意識に)直した後で比較してしまい,その結果左右が逆と錯覚するのです。

「鏡は上下を逆にする」と錯覚することも可能です。つまり鏡まで歩いていった後,逆立ちしてこちらを向いた自分と比較すれば,写像は「左右は同じなのに上下は逆」になっています。地上では振り返るとき必ず横に回転しますからこんな錯覚をする人はいません。しかし無重力の宇宙なら,こちらを向く時に横ではなく上下に回転して振り返っても構わないわけです。


(しかし船と何の関係もない話題‥‥)

(1999.07.16)


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